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2020.9.10

お知らせ

公立豊岡病院組合立豊岡病院 横手明義先生の御寄稿「長時間心電図モニタリングをうける意義」

※横手 明義先生に以下のご寄稿を頂きました。

「長時間心電図モニタリングをうける意義」
公立豊岡病院組合立豊岡病院 脳神経内科 医長  横手明義先生

 

■高齢化に伴って増加する心原性脳梗塞

脳血管障害は日本人の3大死因の1つであり,その脳血管障害のうち心原性脳梗塞は心房細動と密接に関係しております.私が勤務しております豊岡病院が脳卒中急性期治療を担う医療圏は兵庫県北部と京都府北部ですが,この地域の高齢化率は35%に達しており,心房細動は加齢とともに有病率が上昇する疾患ため,年々心房細動を有する脳梗塞患者数が増加しておりました.我々は2018年より当地域の心房細動を有する脳梗塞患者を減少させる取り組みをおこなっており,durantaを用いることは非常に有益でした。

 

■アテローム性脳梗塞に潜む心房細動

心原性脳梗塞を適切に予防するには,心房細動の存在を予想する,それを心電図的にとらえることが重要になります.心房細動が関連する脳梗塞であることを予想することが可能な画像所見もありますが,実際には心房細動を有しているがそれが関係しなかったであろうアテローム性脳梗塞症例も存在します.我々は2018年から2019年にかけて脳梗塞で入院された患者のうち,心房細動の既往が明らかであった症例を除いた212症例に入院中4日間durantaを用いてモニタリングを行ったところ,13名(6.1%)に心房細動が確認されました.うち7名はMRI所見からは心房細動の存在を疑われず抗血小板療法がなされており,durantaで心房細動が確認されたのちに抗凝固療法へ変更がなされています.もちろん心房細動を有するラクナ梗塞,アテローム性脳梗塞症例に,急性期にはどのような抗血栓療法を行うかは議論の余地があるところかと思います。

 

■入院中に連続して心電図モニタリングを行うために必要なこと

我々は入院中に行う心電図モニタリングを4日間連続としましたが,この間心電図モニタリングのみを行えるわけではありませんでした.MRIを再検しなければいけない症例や,心臓超音波検査,胸部CTを行わなければならない症例,また入浴・シャワー浴・清拭も必要であり,着脱が容易であることは非常に好ましいことでした.また自動で記録用デバイス(当院ではiPod touchを使用)とペアリングが行われるため器機の操作面でも着脱は容易です.長時間モニタリングを行うと必然的に解析すべきデータ量が多くなりますが,解析ツールの使いやすさが心房細動の発見をサポートしてくれます。

 

■取り組みの結果

実際当地域では年間で26%の症例数を減少させることに成功しました.もちろん心房細動を有する脳梗塞症例を減少させるために行った取り組みはdurantaだけではありませんが,十分一翼を担ってくれたと考えています.直接経口抗凝固薬だけでなく,あらたなデバイスが心原性脳梗塞の予防のために使用されるようになってきておりますが,そのためにも心房細動が適切に発見できることが重要と考えます.durantaを用いて1つでも多くの心房細動が発見されることを願っております。

 

【心原性脳梗塞を考えにくい画像所見】

【心房細動の存在を示唆するトレンドグラフ】

【心房細動の実際の波形】